能的足底板とは?FEATURE

~はじめに~

現在、日本では市販のものを含めて様々なインソールや足の装具が製作され、治療用の装具として処方されています。しかし正しい理論に基づいて製作されているものは多くありません。

構造的な問題によって生じる障害の多くは、正しい矯正を行わない限り解決できないケースが非常に多く見られます。

欧米では足の問題は足病医が担当し、バイオメカニクス(生体力学)に基づいた診察を経て機能的足底板が処方され、その歴史は100年以上あると言われております。

足病学(Podiatry)

【足の構造的な問題】

足の構造的な問題には以下のものがあります。

①前足部内反(fore foot varus)

前足部内反 fore foot varus

②前足部外反(fore foot valgus)

前足部外反 fore foot valgus

③後足部内反(rear foot varus)

後足部内反 rear foot varus

④後足部外反(rear foot valgus)

後足部外反 rear foot valgus

これらの4つの変形は、足関節遠位部が回内・回外していない中立の状態(ニュートラルポジション)での前足部と後足部の位置関係(アライメント)を表しています。

  • 外反(がいはん):体の中心より遠い部分が外側に曲がっている状態。
  • 内反(ないはん):体の中心より遠い部分が内側に曲がっている状態。遠位部 (えんいぶ)⇔ 近位部(きんいぶ)。
  • 採型(さいけい):石膏包帯などを用いて身体の型をとること。

第1列底屈位

構造的な問題にも含まれますが、しばしば後足部内反などの変形に重複して見られます。足病学では母趾側を第1列、小趾側を第5列と表現します。第1列が他の足趾4本と比べて底屈位に位置した状態を第1列底屈位と呼び、見た目はいわゆるハイアーチとなります。

軟性と硬直性に大別され、第1列の可動性が少ない状態、つまり第1列が硬くなると母趾種子骨障害、足関節内反捻挫などの疾患あるいは回内が困難になり衝撃吸収が少なるため、膝、股、足関節に変形性関節症が生じやすくなります。

また軟性の場合には外反母趾や過回内症候群になりやすくなります。

第1列底屈位

背屈不全(Equinus:エクイナス)

足関節の背屈が妨げられた状態であり、足病学的には下腿部の前後の筋(足関節の背屈筋と底屈筋)のアンバランスに起因するものが多く、年齢に関わらずアスリートの大半がこの状態であると思われます。

エクイナスがある場合の通常歩行を例に挙げて説明しますと、対象とする片側の足が接地した後、体重心の前方移動に伴って足関節が背屈しないためヒールオフが早期に起こります。反対側の接地も早まることでストライドが減少し、歩行あるいは走行のサイクルも短くなります。結果として運動選手にとっては自身の身体能力を完全に発揮することが難しくなり、競技パフォーマンスは低下すると言えるでしょう。

エクイナスがもたらす悪影響としては以下のようなものが考えられます。

  • 早期のヒールオフ
  • 膝関節の過伸展
  • 足部の過回内
  • 重度の外反母趾や胼胝

過回内症候群(Over Pronation Syndrome)

過度の回内によって生じる足部の問題で、回内の量を減らすかあるいは時間を遅らせることが、装具療法の最大のコンセプトであると言えます。立位において後足部が外反している場合、ほとんどの症例で過回内を生じています。

正常な歩行サイクルの中で、踵が接地して完全に体重が足部へのった状態を歩行サイクルの50%とすると、25%までは回内位にあります。ところが過回内症候群の場合には、50%あるいはそれ以上の時間で足部は回内している状態となります。そのためこれに起因する障害の発生率も高くなり、運動パフォーマンスも悪くなってしまいます。歩行サイクルの25~50%では足部は回内外中間位(ニュートラルポジション)であることが理想的なのです。

その原因としては、前足部内反あるいは後足部内反変形がある場合に多く見られ、足部の各関節の柔軟性が高い人(成長期の若年者など)に生じやすいと考えられます。また背屈不全がある場合は、下腿部後方筋群(腓腹筋・ヒラメ筋)のストレッチ及び下腿部前方筋群の筋力強化を併用する必要があります。

代表的な疾患

  • 有痛性外脛骨
  • 脛骨疲労性骨膜炎(シンスプリント)
  • 足底筋膜炎
  • 外反母趾

機能的足底板

当社では運動選手や靴を長時間はいている方、あるいは家の中では症状が出ない方に対しては、基本的にフルレンジのトップカバーが付いた足底板を製作しています。

母趾や小趾に問題がある場合には、症状にあわせてその部分にはクッション製の高い素材を使用します。

フルレンジのトップカバーが付いた足底板

ただし使用する靴によっては、前足部に余裕がなくなるためにトップカバーを短くする必要が出できます。その場合にはフルレンジのものと比較してコントロール性やクッション性が落ちることになります。

使用する靴によっては、前足部に余裕がなくなるためにトップカバーを短くする必要が出できます

トップカバーの交換などは随時行うことができますが、成長期の方に対しては足の成長に伴って、足型を採り直し再製作する必要が出てきます。足底板の効果を維持させるためにも定期的なメンテナンスや再受診をおすすめしています。

足底板を製作する方の多くはその症状によって、ストレッチや筋力トレーニングなどのセルフコンディショニングを併用する必要があります。これらの効果が出てくるまでは、長時間の使用やスポーツなどの過酷な使用条件により、摩擦による皮膚の問題が生じる場合があります。

足底装具のバリエーション

日本では欧米の生活様式と異なり、屋内では靴を脱いで生活しています。

足底板を靴に入れて使用するインソールタイプでは、痛みなどの症状が軽減されないこともあるため、その場合はホルダー(※注釈A)を使用して足底板を足に直接装着するタイプを製作しています。

空手や剣道などの格闘技やダンスなど、裸足で競技を行う運動選手の方に対しては、足底板としてのコントロール性は落ちますが踵のあいたタイプの装具を製作しています。

過度の後足部内反がある場合や、足部に問題があって足関節不安定性が高い症例には、足関節の運動も制限可能なアンクルブレースを製作しています。

ホルダー(注釈A)
ホルダー(注釈A)
ホルダー(注釈A)
ホルダー(注釈A)